離婚・男女問題

①DV防止法による接近禁止命令を経て離婚した事例

依頼者:20代 女性

【相談前】
相談者は、2児の母でしたが、夫から日常的に暴力を振るわれていました。
辛い日々でしたが、子どもがまだ小さく、自分が働くことが難しい中で子どもを養わなければならないこともあり、夫からの暴力に耐えていました。
ある日、夫からの暴行があまりにもひどく、骨にひびが入るほどのケガを負わされました。
相談者は、夫から逃げたい、離婚したい、子どもと静かに暮らしたいというような漠然とした希望を持って来所されました。

【相談後】
まず、子供を連れて実家へ戻り別居を開始しました。
この時点で夫は、生活費を入れないだけで、暴力を振るっているわけではないので、裁判所から接近禁止命令を出してはもらえません。
そこで、相談者とご両親に「家に来ても絶対に家の中に入れないように」と指示しました。
調停は揉めに揉め、私も、調停で終わらすのは無理かなと思いかけていたのですが、当初、離婚など絶対にしないと言っていた夫が、ある日突然離婚自体には同意するようになりました。
①もう妻と同居することは不可能なこと②婚姻費用のほうが養育費より高いことを理解したらしく、次第に離婚自体には渋々ながらも同意するしかないことに気づいたようです。
また、相談者としても、元々、生活費は入れてもらっていなかったことから、離婚後の養育費にこだわるより、早く離婚した方が得なことに気づき、双方の落としどころが見えてきたため、調停で離婚が成立しました。

【当事務所弁護士のコメント】
この事件では、①相談者の実家の両親が協力的だったこと②相談者が物事の優先順位をきちんと理解していたこと③裁判所で無理やり会いに来たときに、相談者自身も毅然とした態度を示せたことからなんとか解決出来たと思われます。
私自身も裁判所敷地内で裁判所職員を振り切ってきた相手方と直接対峙するという貴重な体験をさせてもらいました。

②蒸発した夫と離婚するために離婚訴訟で解決した事例

依頼者:40代 女性

【相談前】
相談者は40代女性で、子供は成人済みでした。
10年前、同居していた夫が、「色々疲れた」旨の伝言を残して突然蒸発してしまいました。
相談者は、夫の行方について、夫の友人や親戚などに聞いたりして探していましたが、結局、行方不明のまま10年経ってしまいました。
そろそろ諦めたいというか、身勝手にも消えてしまった夫と離婚したいと思っているものの、夫の居場所すら不明のため、離婚届を書いてもらうことができませんでした。
どうすればよいかわからず、思い悩んで法律相談に行くことにしました。

【相談後】
離婚調停は、相手方との話合いの手続ですから、相手方がどこにいるのか不明な場合、そもそも手続を進めることができません。
そこで、このような場合は特別に離婚調停をしないで、いきなり離婚訴訟を起こすことができます。
離婚訴訟は、離婚調停と異なり、相手方と話合うわけではなく、裁判官に離婚するかどうかを決めてもらう手続ですから、相手方がいなくても手続を進めることができます。
ただし、住民票等から、夫の所在を追ってみて、どこにいるのか不明でしたという旨の調査だけはする必要があります。
本件では、裁判所から、夫の親戚筋等、いろいろ当たってみるよう指示されましたので、調査しましたが、結局、夫は見つかりませんでした。
そのことを裁判所に報告し、公示送達という特別な手続で離婚訴訟を提起し、無事、離婚することができました。
公示送達とは、簡単に言うと訴状を裁判の相手に送りつけていないのに、したことにしてしまう手続です。

【当事務所弁護士のコメント】
この事件では、夫が本当に見つからないということを裁判所に理解してもらうところまでが一番大変でした。
離婚の場合、その前にまず、別居することが多いと思いますが、その際、住民票を移さないことは珍しくありません。
したがって、被告が住民票の住所に住んでいないからといって、いきなり公示送達にしてしまうのは訴えられた方に気の毒なことになってしまうこともあります。
そこで、親戚が全国に散らばっていたりした場合でも、一応の調査はする必要が出てきてしまうのです。